エラー型を定義する

異なるエラー型をマスクし単一のエラー型として扱えるようにすると、コードがシンプルになる場合があります。ここでは自前のエラー型でそれを示してみます。

Rustはユーザーによる新たなエラー型の定義をサポートします。一般に「良い」エラー型は、

  • 異なるエラーをまとめて同じ型として扱う。
  • ユーザーに優しいエラーメッセージを提供する。
  • 他の型との比較を楽にする。
    • 良い例:Err(EmptyVec)
    • 悪い例:Err("Please use a vector with at least one element".to_owned())
  • エラーについての情報を保持できる。
    • 良い例:Err(BadChar(c, position))
    • 悪い例:Err("+ cannot be used here".to_owned())
  • 他のエラーと問題なく連携できる。
use std::fmt;

type Result<T> = std::result::Result<T, DoubleError>;

// 自前のエラー型の定義。エラーハンドリングのケースの応じてカスタマイズできます。
// ここで新たなエラーを書くことができ、元のエラーの実装に処理を委譲したり、
// その手前で何らかの処理を挟むことができます。
#[derive(Debug, Clone)]
struct DoubleError;

// エラーの生成は、それがどのように表示されるかとは別物です。
// そのため、エラーの表示スタイルに関する複雑なロジックを煩雑になる
// などと気にする必要はありません。
//
// エラーに関する余分な情報を持たせていないことに注意してください。
// どの文字列がパースに失敗したかなどを出力することは、
// その情報を保持させるようにエラーの定義を修正しない限りできません。
impl fmt::Display for DoubleError {
    fn fmt(&self, f: &mut fmt::Formatter) -> fmt::Result {
        write!(f, "invalid first item to double")
    }
}

fn double_first(vec: Vec<&str>) -> Result<i32> {
    vec.first()
        // エラーを新たな型に変更します。
        .ok_or(DoubleError)
        .and_then(|s| {
            s.parse::<i32>()
                // ここでも新たなエラー型に更新します。
                .map_err(|_| DoubleError)
                .map(|i| 2 * i)
        })
}

fn print(result: Result<i32>) {
    match result {
        Ok(n) => println!("The first doubled is {}", n),
        Err(e) => println!("Error: {}", e),
    }
}

fn main() {
    let numbers = vec!["42", "93", "18"];
    let empty = vec![];
    let strings = vec!["tofu", "93", "18"];

    print(double_first(numbers));
    print(double_first(empty));
    print(double_first(strings));
}