テストケース:リスト
構造体のそれぞれの要素を別々に扱うfmt::Display
を実装するのはトリッキーです。というのも、それぞれのwrite!
が別々のfmt::Result
を生成するためです。適切に処理するためには すべての 結果に対して処理を書かなくてはなりません。このような場合は?
演算子が使えます。
以下のように?
をwrite!
に対して使用します。
// `write!`を実行し、エラーが生じた場合はエラーを返します。そうでなければ実行を継続します。
write!(f, "{}", value)?;
?
を使用すれば、Vec
用のfmt::Display
はより簡単に実装できます。
use std::fmt; // `fmt`モジュールのインポート // `Vec`を含む`List`という名の構造体を定義。 struct List(Vec<i32>); impl fmt::Display for List { fn fmt(&self, f: &mut fmt::Formatter) -> fmt::Result { // タプルインデックスを使って値を取り出し、それへの参照`vec`を作ります。 let vec = &self.0; write!(f, "[")?; // `v`を介して`vec`をイテレートし、同時にカウントを // `enumerate`で取得します。 for (count, v) in vec.iter().enumerate() { // 先頭以外の全要素にカンマを付けます。 // ?演算子を使ってエラーを返します。 if count != 0 { write!(f, ", ")?; } write!(f, "{}", v)?; } // 開きっぱなしのブラケットを閉じて、`fmt::Result`の値を返します。 write!(f, "]") } } fn main() { let v = List(vec![1, 2, 3]); println!("{}", v); }
演習
上記のプログラムを変更して、ベクタの各要素のインデックスも表示するようにしてみましょう。変更後の出力は次のようになります。
[0: 1, 1: 2, 2: 3]