Result

これまでの例で、失敗する可能性のある関数の返り値として、列挙型Optionが使用でき、失敗時の返り値にはNoneを用いることを見てきました。しかし、時には なぜ そのオペレーションが失敗したのかを明示することが重要な場合があります。そのためにはResult列挙型を使用します。

列挙型Result<T, E>は2つの値をとりえます。

  • Ok(value) ... これはオペレーションが成功したことを意味し、返り値valueをラップします。(valueは型Tを持ちます。)
  • Err(why) ... これはオペレーションの失敗を意味します。whyをラップしており、ここには失敗した理由が(必ずではありませんが)書かれています。(whyの型はEです。)
mod checked {
    // 捕捉対象としたい、数学的な「エラー」
    #[derive(Debug)]
    pub enum MathError {
        DivisionByZero,
        NonPositiveLogarithm,
        NegativeSquareRoot,
    }

    pub type MathResult = Result<f64, MathError>;

    pub fn div(x: f64, y: f64) -> MathResult {
        if y == 0.0 {
            // 分母が0なので、このオペレーションは普通に行えば失敗します。
            // 代わりに`Err`でラップされた失敗の理由を返しましょう。
            Err(MathError::DivisionByZero)
        } else {
            // このオペレーションは問題がないので、
            // 結果を`Ok`でラップして返しましょう。
            Ok(x / y)
        }
    }

    pub fn sqrt(x: f64) -> MathResult {
        if x < 0.0 {
            Err(MathError::NegativeSquareRoot)
        } else {
            Ok(x.sqrt())
        }
    }

    pub fn ln(x: f64) -> MathResult {
        if x <= 0.0 {
            Err(MathError::NonPositiveLogarithm)
        } else {
            Ok(x.ln())
        }
    }
}

// `op(x, y)` === `sqrt(ln(x / y))`
fn op(x: f64, y: f64) -> f64 {
    // 3段階の`match`ピラミッド!
    match checked::div(x, y) {
        Err(why) => panic!("{:?}", why),
        Ok(ratio) => match checked::ln(ratio) {
            Err(why) => panic!("{:?}", why),
            Ok(ln) => match checked::sqrt(ln) {
                Err(why) => panic!("{:?}", why),
                Ok(sqrt) => sqrt,
            },
        },
    }
}

fn main() {
    // これは失敗するでしょうか?
    println!("{}", op(1.0, 10.0));
}