Option

プログラムの一部が失敗した際、panic!するよりも、エラーを捕捉する方が望ましい場合があります。これはOptionという列挙型を用いることで可能になります。

列挙型Option<T>には2つの値があります。

  • None、これは実行の失敗か値の欠如を示します。
  • Some(value)、型Tvalueをラップするタプルです。
// `panic!`を起こさない整数の割り算
fn checked_division(dividend: i32, divisor: i32) -> Option<i32> {
    if divisor == 0 {
        // 失敗は`None`としてあらわされます。
        None
    } else {
        // 結果は`Some`にラップされます。
        Some(dividend / divisor)
    }
}

// この関数は失敗する割り算を扱うことができます。
fn try_division(dividend: i32, divisor: i32) {
    // `Option` の値は、他のあらゆる列挙型と同様パターンマッチに使用できます。
    match checked_division(dividend, divisor) {
        None => println!("{} / {} failed!", dividend, divisor),
        Some(quotient) => {
            println!("{} / {} = {}", dividend, divisor, quotient)
        },
    }
}

fn main() {
    try_division(4, 2);
    try_division(1, 0);

    // `None`を変数に代入する際は、型を明示しなくてはなりません。
    let none: Option<i32> = None;
    let _equivalent_none = None::<i32>;

    let optional_float = Some(0f32);

    // `Some`をアンラップすると中の値を取得できます。
    println!("{:?} unwraps to {:?}", optional_float, optional_float.unwrap());

    // `None`をアンラップしようとすると`panic!`します。
    println!("{:?} unwraps to {:?}", none, none.unwrap());
}