配列とスライス
配列はT
という単一の型のオブジェクトの集合です。それらのオブジェクトはメモリ上の連続した領域に保存されます。配列は[]
を用いて生成されます。長さはコンパイル時には決定されていて、[T; length]
という形で指定できます。
スライスは配列に似ていますが、コンパイル時に長さが決定されていません。スライスは2ワードからなるオブジェクトであり、最初のワードがデータへのポインタ、2番目のワードがスライスの長さです。ワード長はusize
と同一で、プロセッサのアーキテクチャによって決まります。例えばx86-64では64ビットです。スライスは配列の一部を借用するのに使用され、&[T]
という型シグネチャを持ちます。
use std::mem; // この関数はスライスを借用します。 fn analyze_slice(slice: &[i32]) { println!("First element of the slice: {}", slice[0]); println!("The slice has {} elements", slice.len()); } fn main() { // 固定長の配列(型シグネチャは冗長なので、なくても可) let xs: [i32; 5] = [1, 2, 3, 4, 5]; // すべての要素を同じ値で初期化する場合 let ys: [i32; 500] = [0; 500]; // インデックスは0から。 println!("First element of the array: {}", xs[0]); println!("Second element of the array: {}", xs[1]); // `len`は配列の要素数を返します。 println!("Number of elements in array: {}", xs.len()); // 配列はスタック上に置かれます。 println!("Array occupies {} bytes", mem::size_of_val(&xs)); // 配列は自動的にスライスとして借用されます。 println!("Borrow the whole array as a slice."); analyze_slice(&xs); // スライスは配列の一部を指すことができます。 // [starting_index..ending_index] の形をとり、 // `starting_index`はスライスの先頭の位置を表し、 // `ending_index`はスライスの末尾の1つ先の位置を表します。 println!("Borrow a section of the array as a slice."); analyze_slice(&ys[1 .. 4]); // 空のスライス`&[]`の例: let empty_array: [u32; 0] = []; assert_eq!(&empty_array, &[]); assert_eq!(&empty_array, &[][..]); // 同じ意味だがより冗長な書き方 // 配列は、`Option`を返す`.get`で安全にアクセスできます。 // `Option`は以下のようにマッチさせることもできるし、 // 運よく処理を続ける代わりに、`.expect()`で素敵なメッセージとともに // プログラムを終了することもできます。 for i in 0..xs.len() + 1 { // おっと、1要素余分! match xs.get(i) { Some(xval) => println!("{}: {}", i, xval), None => println!("Slow down! {} is too far!", i), } } // 配列のインデックスが範囲外のときはコンパイルエラー。 //println!("{}", xs[5]); // スライスのインデックスが範囲外のときはランタイムエラー。 //println!("{}", xs[..][5]); }