関数

「型Tはその前に<T>があるとジェネリック型になる」というルールは関数に対しても当てはまります。

ジェネリック関数を使用する際、型パラメータを明示する必要がある場合があります。返り値がジェネリック型である場合や、コンパイラが型パラメータを推論するのに十分な情報がない場合です。

型パラメータを明示したうえでの関数呼び出しの構文はfun::<A, B, ...>()のようになります。

struct A;          // 具象型`A`
struct S(A);       // 具象型`S`
struct SGen<T>(T); // ジェネリック型`SGen`

// 以下の関数は全て変数の所有権をとった後すぐにスコープを抜けて
// 変数をメモリ上から開放します。

// `S`という型の引数`_s`をとる`reg_fn`という関数を定義。
// `<T>`がないのでジェネリック関数ではありません。
fn reg_fn(_s: S) {}

// `gen_spec_t`という関数を定義。これは`A`という型を与えられた`SGen<T>`
// という型の引数`_s`を取ります。関数名の直後に`<A>`という型パラメータでAが
// ジェネリックであることを明示していないので、この関数はAをジェネリック型
// としては取りません
fn gen_spec_t(_s: SGen<A>) {}

// `gen_spec_i32`という関数を定義。
// これは明示的な型パラメータとして`i32`を与えられた
// `SGen<i32>`型の引数`_s`を取ります。
// この関数もジェネリックではありません。
fn gen_spec_i32(_s: SGen<i32>) {}

// `generic`という関数を定義。`SGen<T>`という型の引数`_s`を取ります。
// `<T>`が`SGen<T>`に先行しているため、これはTに対してジェネリックな関数です。
fn generic<T>(_s: SGen<T>) {}

fn main() {
    // ジェネリックでない関数を使用します。
    reg_fn(S(A));          // 具象型
    gen_spec_t(SGen(A));   // 型パラメータ`A`を暗黙のうちに受け取ります。
    gen_spec_i32(SGen(6)); // 型パラメータ`i32`を暗黙のうちに受け取ります。

    // 型パラメータ`char`を明示的に`generic()`に渡します。
    generic::<char>(SGen('a'));

    // 型パラメータ`char`を暗黙的に`generic()`に渡します。
    generic(SGen('c'));
}

参照

関数, 構造体