クロージャ

Rustにおけるクロージャは、その外側の環境を捕捉した関数のことです。例えば、次のコードは変数xを捕捉したクロージャです。

|val| val + x

クロージャの構文や機能は、その場限りの用途で何かを作るのに便利です。クロージャの呼び出しは関数の呼び出しと全く同じです。しかし、入力の型と戻り値の型は推論させることができますが、入力変数の名前は必ず指定しなくてはなりません。

クロージャの他の特徴を以下に示します。

  • 入力変数を囲むのに、()の代わりに||を用います。
  • 本体が単一の式の場合は、本体の区切り文字({})を省略できます。(それ以外の場合は必須です)
  • 外側の環境にある変数を捕捉することができます。
fn main() {
    let outer_var = 42;
    
    // 通常の関数は周辺の環境の変数を参照できません。
    //fn function(i: i32) -> i32 { i + outer_var }
    // TODO: 上の行をアンコメントしてコンパイルエラーを見てみましょう。
    // 代わりにクロージャを定義することをコンパイラが提案してくれます。

    // クロージャは匿名なので、参照に束縛して使います。
    // 型アノテーションは、通常の関数と同様の方法で行えますが、必須ではありません。
    // `{}`も必須ではありません。
    // このように定義した無名関数を適切な名前の変数に代入します。
    let closure_annotated = |i: i32| -> i32 { i + outer_var };
    let closure_inferred  = |i     |          i + outer_var  ;

    // クロージャを呼び出す。
    println!("closure_annotated: {}", closure_annotated(1));
    println!("closure_inferred: {}", closure_inferred(1));
    // クロージャの型が一度推論されると、別の型にあらためて推論することはできません。
    //println!("cannot reuse closure_inferred with another type: {}", closure_inferred(42i64));
    // TODO: 上の行をアンコメントしてコンパイルエラーを見てみましょう。

    // 引数なしで`i32`を返すクロージャ。
    // 戻り値の型は推論されます。
    let one = || 1;
    println!("closure returning one: {}", one());

}